2006年 07月 11日
そう、これは歴史の影。 クリエルも知らなかった舞台の裏。 この続きは、救いになるかもしれませんし、ただの蛇足であるかもしれません。 では、また会いましょう。 貴方の意思がまだ自分のものであるのなら……ね。 さぁここが扉だ。何処へ続いているのか、まるで夢の如し。 ▲
by creatle
| 2006-07-11 20:34
| 外伝:砂塵の記憶
2006年 07月 10日
ザァー…… 雨の音が遠くに聞こえる。 「ん……んぅ……」 目が覚めた。 ここは砂丘の真ん中ではなく、部屋の中のようだ。 あまり大きい部屋ではなく、ベッドが二つと、文机、燭台だけがある部屋だ。 外は大雨。心なしか雷も鳴っている気がする。 私はおもむろにリンクパールを起動する。 『研修訓練実施中。マウラ近辺で活動中の団員へ。非常時は協力願う。クリエル。 現在、雷曜日16時55分デス』 リンクパールから、予め設定しておいた自分の声のメッセージと、時報が流れる。 そして起き上がった。 ▲
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| 2006-07-10 22:57
| 外伝:砂塵の記憶
2006年 07月 08日
あつい。 しろい。 あつい。 しろい。 さくっ……さくっ……と足元に砂を感じる。 何も見えず、視界はただ白い。 足元に感じる砂だけが、現実と私を結び付けているようだ。 あつい。 しろい。 あつい。 しろい。 視界に、影が見えた。 それは広くて、そして、とても涼しそうだった。 さくっ……さくっ…… ▲
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| 2006-07-08 23:30
| 外伝:砂塵の記憶
2006年 07月 06日
「ば……ばけものだ……」 一人の兵がつぶやく。 襲い掛かってきた兵士3人は息継ぐ暇も無く轟沈。 殺しては居ない筈。肋骨は何本か折った記憶はある。 「もう一度言う」 私は残った兵に睨みを効かせ、威圧を籠めて言い放つ。 「逃げるならば追わない。 無様に逃げ回るか、ここで朽ち果てるか。 選ぶがいい」 一人、後ずさり、そのまま後ろに駆け出した。 その後は連鎖式に兵が散っていく。 「さて……」 ▲
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| 2006-07-06 13:45
| 外伝:砂塵の記憶
2006年 07月 04日
処刑まで、後2日。 「ふむ……」 手に魔力を集中させる。素手に魔力が伝播し、留まる。 イメージは炎。熱と光が舞う、神速の拳。 「案外できるものだな。これならば実戦でもなんとかなりそうだ」 ――エンファイア。 トパーズとの戦いで、出来損ないながらも発動した、エンサンダー。 そのバリエーション。 弱点を突くことができれば、通常ダメージが通りにくい敵にも、魔法として徹すことができることを知った。 炎は文明の象徴、そして――人にとっては命を奪う恐怖の代名詞。 私は留まり続ける魔力を霧散させ、横たわった。 ぐぅ~……。 お腹がすいた……投獄されてから、何も口にしていない。 投獄されても食事は出るかと思ったが、何も出なかった。 思考し、魔力を練ることは容易だが、ここまでは制御できない。 「隊長。差し入れだぜ」 気づくと、ロックウェルがそこにいた。 「ロックウェル……」 「何も言うな隊長。とりあえずこいつを腹に入れとけ」 受け取ったのは干し肉。 ためらいもなく私は口に入れる。 岩塩で味を調えただけの、ただの干し肉だが、知識以上に美味く感じた。 「もう一切れある。明日の朝に食べてくれ。最後まで力残せるようにな」 ロックウェルからもう一切れ受け取り、囚人服のポケットに入れた。 「隊長。小耳に挟んだんだが、処刑はバストゥーク国内じゃないらしい。 鉱山区の住民が、政府に対して不信をあらわにしてる。 あのままだと暴動が起きそうだとさ」 「そうか……なら隙を突いて逃げることも、希望があるな」 どうやら逃げ場もない処刑では無くなりそうだ。 弱点が付けそうな感じがしてきた。 考えても見れば、裁判から3日で処刑というのも日程的には早すぎる。 私がスパイだというのなら、私から獣人側の情報を引き出すことをするだろうし。 「……一応見回りってことでここに来てる。そろそろ戻る。 死ぬなよ。隊長」 「ああ。お互いにな」 二人同時に頷くと、ロックウェルは牢獄を出て行った。 何事もなく、そのまま夜が来た。 ▲
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| 2006-07-04 02:31
| 外伝:砂塵の記憶
2006年 06月 29日
「刑の執行は3日後だ。おとなしくしているんだな」 ガシャーン!と勢い良く鉄柵が閉じられる。 すぐさま衛兵は立ち去り、階段を上る軍靴の音。 スパイ容疑。 クゥダフの進行路を不可能なほど正確に予測、クゥダフ124体に対し、17人で挑み、 勝利したことが証拠だとし、私は獣人の手先と断定。処刑が決まった。 私に、発言権や弁護などは存在せず、ただ弾劾のみされる暗黒裁判。 それまでであれば耐えよう。私が無実なのを頑なに主張するだけだ。 だが、もうその気は失せてしまった。 証人として呼ばれ、そう証言したのは―― そう、その名は…… ▲
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| 2006-06-29 01:44
| 外伝:砂塵の記憶
2006年 06月 26日
「ふむ……早急に帰還せよ。か」 バストゥーク本国から通達が来た。 唯一文、帰還せよ。の文。 字は大統領府の高官、マハラヴィの字だ。 何故奴が私に指令をよこすのか。 連隊長就任時に合間見えたことはあるが……。 あの何か企んでいそうな卑下た笑みが未だに嫌悪感を感じる。 嫌な予感がするが――。 大方、兵を勝手に帰還させたことを問い詰められるだけだろう。 それよりも、本国に帰還したら、今残っている兵に恩賞を与えたい。 「今期の給金……足りるかな」 言葉とは裏腹に、自分の顔は笑みを含んでいるのを自覚した。 「指揮官殿。帰還する準備、出来ました。 荷物が多いですな……チョコボに荷を乗せたら、 我々が乗る分が無くなってしまいましたよ」 苦笑しながらも、その顔は嬉しそうだ。 もう数ヶ月も帰っていない。会いたい家族も愛しい人もいるだろう。 「よし。では出発しよう。みんなは」 「もう既に隊列を組み、出発する準備は整っております」 私は頷くと、砦を出た。 外に出て、空を見ると…… ▲
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| 2006-06-26 13:54
| 外伝:砂塵の記憶
2006年 06月 24日
改めて、トパーズを見据える。 その周りは砂塵であった。 いや、クゥダフだったモノが消し炭になって文字通り砂に還った風景だった。 その中心に、一体、巨大な、影。 ピシッ、ピシッ。とヒビ割れて崩れていく音。 だが、崩れているのは奴の体ではない。 「白魔法……ストンスキンか」 「グヴヴヴヴヴ……」 トパーズの不気味な哂いと共に、途端に辺りが明るくなる。 夜のグスタベルグに舞い降りる天光。 その刹那、トパーズのヒビ割れた装甲、焼け爛れた皮膚、全てが逆回しのように復活していく。 『女神の……祝福!?嘘よ!アルタナの女神が獣人に加護を与えるなんて!』 「うろたえるなミリアム!如何なカラクリであれ、現状を見据え、戦うしかないのだ!」 アルタナの女神――いや、“世界”の協力を得て成し得る奇跡。 人は、それを女神の加護だと信じる。 だが、私は理解している。 アレは死地に至った者が使う、最後の底力。 何度も、死地に舞う死神だからこそ見える真実。 辺りを見回せば、トパーズ以外、何も存在しない空間。 バーストにより開かれた円形の空間。 そう、此処こそがこの戦いの決着の場だ。 「さぁ。殺し合おうトパーズ」 「ググゥゥァ……」 私を中心に、 左翼、暗黒騎士ロックウェルとガルカの大斧戦士ダゴン。 右翼、パラディンラティクスと老齢の槍兵ウェールズ。 後方に、ミリアム以下魔道士。 フィールド周囲、弓兵で取り巻く。 布陣は、出来上がった。 最早、クゥダフ側は隊列など意味を持たず、指揮も届かず。 後方に居たクゥダフは全て撤退してしまった。 「百人隊長ラドル・ウォーラス・クライエル!いざ参る!」 今、最終決戦のゴングが鳴った。 More ▲
by creatle
| 2006-06-24 23:54
| 外伝:砂塵の記憶
2006年 06月 22日
一斉に怒号が響き渡る。戦士の雄叫び(ウォークライ)か、はたまた断末魔か。 クゥダフの3列縦隊編成は長さ10kImにも及ぶ。 最後列のクゥダフが棒立ちになり、退路をふさいでいるのが見える。 狩人と呼ばれた者たちの一つの神業、その名を“影縫い”。 地面に縫い付けられた影が本体をも縛り付けるという魔技。 そしてその直ぐ前からクゥダフが倒れた影が見える。順調に弓兵達は戦果を上げている。 私はリンクシェルに咆哮する…… ▲
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| 2006-06-22 21:53
| 外伝:砂塵の記憶
2006年 06月 21日
岩山の上に、弓兵を配置する。その後に白魔道士、黒魔道士を配置。攪乱と支援攻撃を担当してもらう。 ここは岩の丘陵が二つ、門の様に並んだ地形で、隠匿と射撃にはもってこいの地形だ。 ただそれは上を取った場合だ。 下を通る場合は、門を通らねば通行は不可能で、歩行可能な道幅が狭い。 4ガルカ分の通行路は、クゥダフのような重装甲の甲羅と横幅の大きい体格が、一度に通れる数をさらに制限する。 そして今回の作戦は…… ▲
by creatle
| 2006-06-21 13:30
| 外伝:砂塵の記憶
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