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砂塵の記憶

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2008年 03月 14日

蒼き空に紅き御旗を 13

『――報告は以上です。
 ヤグード自治区、ギデアス周辺には特に変化は無し。
 ギデアス内部に、アラゴーニュ地方生息と思われるトカゲの死骸があった程度。
 証拠……というには貧相な物しかみつかりませんでした。
 トカゲの体内から見つかった、双子石程度でしょうか』




 クリエルさんからの定時報告を受けていた。
 一日一回、報告があるが、さしたる効果は出ていないのが実情だ。

「そうですか。ご苦労様です。
 まだ何かあるかも知れません。ウィンダスから提示された調査期間もまだあります。
 落ち着いて、事故が無いようにお願いします」
『了解。引き続き、調査を続行します。
――それと、昨日送付した資料は御覧になりましたでしょうか』

 私はウィンダス競売所消印の書類を引き寄せた。
 コレは昨日確認した。
 一人の男性の、履歴書と冒険者用国籍取得依頼書だった。

「ええ。届いて確認しています。
 彼……グッキーさんの入団は認められますが……大丈夫でしょうか。
 魔法学校に於いての優秀成績者を中退させてしまうことになりますが」

『彼の意志を尊重した結果です。
 国を出る決意も固く、如何なる配属も受け入れる覚悟があるとのこと
 彼は若い。だが、それ以上に、探求心や冒険心旺盛なのも確かです。
 カイルからの推薦ではありますが、私個人としても、手助けをしたい』

 グッキーさんの履歴書を見る限り、魔法の才能は相当な物だ。
 初見の魔法であっても、悉く習得して見せ、さらに自由に使役できると言う。
 味方に付ければ強力な戦力。
 しかし、このまま行けば博士の道だってあったはず。
 それに、実戦経験は皆無。下手をすれば実力を生かし切れないまま戦死もあり得る。

『研修訓練に関してですが、私が調査を続行しつつ、行おうと思います。
 急場凌ぎの訓練になりそうですが、
 彼のセンスならば相応に身につけてくれるでしょう』

「分かりました。
 国籍取得と入団手続きの方は、こちらで行っておきます。
 もしもの時のために、リンクパールは渡しておいてください。
 カイルさんがサックとして複数所持しているはずです」

『了解。新兵、グッキーをお預かりします。
 では、明日、おなじ時間に』
「はい。では、よろしくお願いします」

 リンクシェル通信が切れ、室内に静寂が戻った。
 グッキーさんの国籍取得書類と、入団手続きの書類を書き込む。
 ほとんどの事項は既に書き込まれており、あとはサンドリア王国戸籍官に受理されれば、
 それでグッキーさんは晴れてサンドリア国民、赤獅子騎士団所属となる。

 コンコンと軽くノックの音が聞こえた。
「失礼します。ウィンダス連邦から、リンクシェルアップグレードに参りました」

 ……――。
 最近、リンクシェルもただの通信装置としての役割からさらに機能が付随し、
 様々な機能が追加されている。
 隊の統制にも非常に便利であり、
 管理権限者はリンクパール所持者の位置情報も見ることが出来るようになった。
 ――……。

「操作の方は分かりましたでしょうか」
「ええ。なんとか」
「では、他の隊にも行きますので、私はこれで」

 タルタルの技術者は一礼すると、そのまま颯爽と出て行った。
 とりあえず、教えて貰った操作方法を実践してみる。

 リンクシェルを起動すると、「Welcome to Link-Shell System」と窓が現れ、
 羊皮紙ほどの大きさで、所有者リストを表示する。
 隊員の大まかな位置が表示された。
 私の位置は、“ChatdOrag”ドラギーユ城を意味するようだ。
 クリエルさん以下3人がギデアスにいることが分かる。
 もう早速、グッキーさんにリンクパールを渡したようだ。

『み、みなさん初めまして。
 ぐ、グッキーと言います。よろしくおねがいしますっ!』

 緊張気味な声がリンクシェルから響いた。

『おう。ヨロシクな』
『ようこそRLKへ』

 隊員が口々に歓迎の意を伝えた。

「初めましてグッキーさん。隊長のフラッドです。
 ようこそ赤獅子騎士団第13師団へ。歓迎いたします。
 困った事があったら、遠慮せずにリンクシェルを使ってください。
 きっと隊員が手助けをしてくれますよ。」
『そうそう。特にお節介な魔法拳士さんとかね』
『一言多いぞ、ジョル』
『だから私はジェイトンだって何度言ったら――』

「おおおおっ?それが噂の新型リンクシェルかいっ?」
「透明の板みたいなのが浮いてる……すごいねコレ」

 執務室に入ってきたのは、ミスラ族のアイーシャさんとシャンだった。
 アイーシャさんはG……
 グァルザングさん(アレクさんが呼びづらい!という理由で通称がGになったらしい)
 の娘さんである。
 戦略的な思考も可能で、2大隊程度であれば支障なく指揮が可能な優秀さ。
 彼女を軍師として仰ぐ隊員も少なくない。
 実際に作戦立案や現場指揮に関しては、彼女を頼ることが多いのだ。
 アイーシャさんが活躍している時、Gの背中がちょっと寂しそうなのは気のせいか。

 その才女な彼女が興味津々なのは、先ほどアップグレードしたばかりのリンクシェル。
 うっすらと光る透明な板が周りに浮かぶ様相はなかなか不思議な光景だ。

「ちょいと拝借。ふむふむ。えーっと。ああコレがこうで。これか!」

 アイーシャさんがリンクシェルを弄りながら、自分のリンクシェルを弄った途端、
 アイーシャさんの周りにも透明な板が浮かび、隊員リストを出現させた。

「おー!」

 ぱちぱちぱち、とシャンが拍手。
 先生。こういった技能ってどこで身につけるんですか?(大汗)

「しかしフラッド隊長。クリさんをギデアスに送ったのは早計だったかもね」
「どういうことですか?」

 ふふん。とアイーシャさんは、自分のリンクパールを撫でて隊員リストを消去。

「最近のウィンダス連邦、ちょっと怪しいんだよね。
 しかもワタシが掴んだ情報によると、ギデアス調査、前にウィンダスがやってたんだよ。
 しかも打ち切りが早い早い。
 その後にウチに回ってきた。さらに、その調査はウィンダス指定物調査。
 期限も緩い。てことは……派遣された彼らを、罠にはめたか。
 あるいは、何かが出るまで待っているのか」

「何か……ですか」
「うん。でもクリさんなら何とかしちゃうかもしれないし、
 ここでウィンダスに借りつくっとけば後々便利。
 クリさんと愉快な仲間達にまかせましょ」

 何かあったら呼んでネーとアイーシャさんは部屋を出て行った。

「フラッド毎日忙しいのね。
 構ってくれないのちょーっと寂しいかな」
「うん……ごめんねシャン。
 でも、人の役に立つ仕事だから。休むわけにはいかないんだ。
 暇が出来たら、みんなでいろんな所行こうか」
「うんっ!絶対だよー!」

 シャンの笑みは、忙しいこの仕事にも癒しを与えてくれる。
 この笑みは、いろんな人が平等に持たなければ行けない物。
 当たり前に笑える世界を守ること。それが、使命。
 その思いを改めて認識し、今日の職務を遂行したのでした。

by creatle | 2008-03-14 00:28 | Final FantasyXI


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