砂塵の記憶

creatle.exblog.jp
ブログトップ
2007年 12月 19日

蒼き空に紅き御旗を 12



午前11時。赤獅子騎士団第13師団隊控え室。
昨日持ち込まれた、特殊任務の書状内容を巡って、師団内会議が催されていた。








「ウィンダス連邦方面への派遣ですか。
 しかも、連邦の彼らと表向きとはいえ、友好状態のヤグード教団拠点への調査とは。
 かなり危険な任務ですし、何を調べるのかも明確ではない。
 相当な戦闘能力と多方面のスキルのある人物を立てないと、難しいかもしれません」

 スラグさんが、先だって発言した。
 書状には、
 『ウィンダス連邦西方、ヤグード教団拠点のギデアスにて、
  不審な動向あり。
  ウィンダス連邦のみでは捜査に限界があり、調査協力を依頼したい。
  ひいては、3名以上5名以下の人員を要請する』

 命令文とも依頼書とも取れる奇妙な指令書。
 不可解なのは、何を調査するのかを全く記載されていないことだった。
 あえて避けているのか、それとも、書けない事情があるのか。

「しかし、ウチに依頼が来るのは納得がいきませんな。
 8師団や、17師団には、そのテのプロがいるのに」

 通称、不死身の第1小隊。
 13師団のパラディン部隊を取り纏める隊長、ガンヴィーノ隊長。
 今日は白い重装甲ではなく、身軽な私服姿だ。

「いや、オレはそうは思わないぜ。
 8師団はバルドニア方面に派遣されて当分帰ってこない。
 17師団は少々、統制に問題が出てきているみたいだからな。
 アレクさんのバックもある。人材的にも、有数のオレ達だからこそ。
 選ばれたか、押しつけられたか。ってところだね」

 第7部隊。遠距離攻撃専門のハンター部隊の隊長、Gがガンヴィーノ隊長に答えた。

「選ばれて名誉だと思いましょう。
 さて、本題です。
 3名以上ということで、小隊を結成する予定ですが、この任務に就ける、
 小隊長を選出したいと思います。
 ここに居る皆さんは、それぞれの隊の指揮もありますから不可能だと思いますので、
 その他から選出しましょう」

 このままだと何故仕事が回ってきたかで終わってしまう。
 とにかく軌道を修正。

「第4小隊と、魔法兵団の中だと、ほとんど無理だな。
 個人戦闘能力はいいけど、指揮能力のある人物は、俺とコトナリアさんだけだ。
 ラキラさんはある程度のことは出来るけど、局地戦向きじゃない」

 13師団きっての精鋭部隊、第4小隊隊長のメビウスさんが発言した。
 確かに、魔法兵団はコトナリアさん独りに、ほとんど指揮を任せてしまっている。
 小隊長が育ちにくい原因でもあるが、それ自身が非常に強力なため、そうするしかない。

「可能性のある人物を上げていきましょうか。
 トリスタン……いやタートルさん、ケイ・フォウさん、
 カイルさん、ヴィレットさん辺りが妥当だと思われますが」

 思いつく主力を上げていく。
 すると、スラグさんが挙手をした。

「フラッド隊長。もう一人います。
 ひょっとすると、彼が一番適任かもしれません」

 場がざわついた。
 すると、スラグさんはドアの方を見て、ニヤリと笑った。

「ねぇ?指揮官経験者、クリエルさん?」
「あ……あはははは。お茶が入りましたヨーっと」

 クリエルさんがドアを開け、ひょっこり顔を出して笑った。
 さっと室内に入ると、手早くお茶を配り始めた。

「以前、彼が過去の経歴を話してくれましてね。
 指揮官の経験があるそうです。
 それに、気配察知能力、気配遮断能力、作戦立案、局地戦能力など。
 どうでしょう?」
「おいおいスラグ。ほめても何も出ないぜ?」
「ええ知ってますよ。ですから」

 するとスラグさんは写してあった指令書を開き、クリエルさんに見せた。

「死ぬ気で出してきてください?」

「おー……(汗)」
「く、クリエルさんお願いできますか?」

 漫画的大汗を垂らしていたクリエルさんはスグに真顔になり、私の方へ向いた。

「ええ。どうやら私向きの仕事のようですね。
 お受け致します。
 ひいては、3名以上5名以下ということで、
 カイルとジェイトンの配下引き当てを依頼したく思います」

「やっぱり裏で聞いていましたね……?
 カイルさんの拠出は大丈夫です。特に任務には就かせていませんし。
 ジェイトンさんの方は?」

 スラグさんは既にそのつもりだったかのように話を進めている。
 残るはジェイトンさんの任務就任。
 コトナリアさんに、スラグさんは問いかけた。

「うん。大丈夫。
 今はロランベリー耕地にクロウラー退治に出てるけど、
 明後日には帰還するハズ」

 コトナリアさんは頷いて、手帳に何かを書き記し始めた。

「しかしクリさん。その編成って確実に、狭い空間での局地戦仕様だね。
 そう……なると?」

 戦力構成を分析してか、Gがクリエルさんに問いかけていた。

「ええ。ほぼ、確実に戦闘は避けられないと思います。
 万が一を考え、部隊の支えを頑丈なジェイトンにして、
 切り込みをカイルに。中盤は私が抑える予定です。
 ギデアスの構造上、5人は多すぎます。
 有事の際は強行突破も出来る布陣にするつもりです」

「では決まりですね。クリエルさん、お願いします。
リンクシェルでの呼称は、第11特戦部隊とします」
「ええ。お任せ下さい」

 なんとか指令書の委任も終わったが、師団長の仕事というものは
 案外この後からくるものなのだ……と。
 この時はみじんにも思いませんでした。
[PR]

by creatle | 2007-12-19 00:15 | 外伝:蒼き空に紅き御旗を


<< はぅ……      蒼き空に紅き御旗を 11 >>