砂塵の記憶

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2007年 01月 30日

蒼き空に紅き御旗を~フラッド編~プロローグ

 サンドリア王国……昔は、大陸最強と呼ばれた騎士団が存在し、
 軍事大国としてその名を轟かせた。
 だが、ジュノ公国が発布したコンクェスト政策が、その国力バランスを崩し、
 その翌年発布された獣人軍撲滅キャンペーンにより、
 サンドリアの劣勢が決定的となってしまった。

 この物語は、その流れを変えようと努力した者たちと
 その流れに巻き込まれた少年の物語である。
 その先に在るものは、幸せか、それとも――











「諸君。お初にお目に掛かる。
 私は、本日を以て設立された、赤獅子騎士団総大将、ルギアである。

 知っての通り、ジュノ公国が発布したコンクエスト政策に対し、
 我々、サンドリア王国は、
 バストゥーク共和国やウィンダス連邦に後れを取っている。
 物品の流通や国力が、その政策に依存してしまった以上、
 この後れはとても許されるものでは無くなってしまった。

 そこで、我々が立ち上がったのだ。

 諸君等、赤獅子騎士団は、王立騎士団でも、神殿騎士団でも無い。
 分類すれば、民間人、あるいは、冒険者の集まりである。
 だが、国を想う気持ちは、軍と同等、否、それ以上である。
 国は、北方の防衛と、国内防衛で手一杯である。
 自由に動ける我々こそが、一翼を担うべきである!
 我が国所属の冒険者を奮い立たせよ!
 今この日から、黄昏の王国の汚名は返上するのだ!
 まずは、各地域のリージョン制圧を主とする。
 次のコンクェスト集計後、一斉蜂起を掛け、攻勢に出る!
 諸君等の活躍に期待する」

 盛大な拍手と、かけ声が会場内に響き渡った。
 王国軍マントを纏った紅い騎士は堂々たる風格だ。

「では、是より、部隊の隊長を任命する。
 呼ばれた者は、前に出て、未開封リンクシェルと目録を受け取るように」

 一人、一人と壇上に上がり、リンクシェルと書状を受け取る。
 いずれも、音に聞こえた英雄揃い。
 一人は王立騎士団の中でも有名な指揮官。
 一人は、民間人でありながらも多大な戦功を納めた戦士。
 ソレを、羨望の眼差しで見ている少年が居た。
 齢15を数えて騎士団へ入隊を果たした、幼さを残した少年。
 彼もまた、赤獅子騎士団に参加した勇士の一人だ。
 だが、次の瞬間、その少年の瞳が、驚愕の元に大きく開かれた。

「第13部隊、ディアボロス隊隊長、フラッド・クレセントウッド!」
「は、はいぃっ!?」

 少年は叫びとも取れる返事と共に立ち上がった。
 壇上からは、ルギア総大将が頷いた。
 促されるままに、少年、いやフラッドは壇上に上がった。

「あんな子供が……」
「俺でさえ呼ばれなかったのに何故あんなガキが……」
「何を考えているのだ……御大将は……」

 ヒソヒソと聞こえてくる揶揄も、フラッドの耳には入らなかった。
 いや、そんな余裕など全くなかった。

「フラッド君」

「は、はい……しかし……ホントにボクで……」

「君には期待をしている。もしかしたら、ここの誰よりもな」

「は、はい」

「未開封リンクシェルと、施設利用に関する書状だ。
 リンクシェルは式典終了後にすぐに開封し、Red Lion Knightsと名付けてくれ。
 では、13部隊は君に任せる」

「はいっ!フラッド・クレセントウッド。粉骨砕身の思いで邁進して参ります!」

 フラッドの敬礼に、ルギア総大将は頷いて見せた。


 この日、黄昏の騎士王国、サンドリアから、反撃の狼煙が上がったのだった。
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by creatle | 2007-01-30 02:04 | 外伝:蒼き空に紅き御旗を


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