砂塵の記憶

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2007年 01月 21日

潮騒の鎮魂歌~その後に~

 力とは何か。
 数々の哲学者が追い求め、否定され、さらに追い求めた。
 だが、全て、目指す物はただ一つ。



 ――幸せを。この手に。








「おにいちゃん。だれにおはなししてるの?」
「……世の中」
「ちょ、ちょっと今回は私の出番よ!?出番取らないでよー!もぅ!」
「ちっ……もうちょっとで静かに終わると思ったがっ。
 アベル……もうちょっとシメを静かにやるべきだったな」

 ここは南サンドリアのどこかにある喫茶店。
 その名は喫茶Fairy。
 広い敷地に立つその喫茶店は、周囲を多くの青石で敷かれている。
 青は水を意味するのだろうか、まるで湖上に建つ理想郷。
 女店長が店を切り盛りする、人気のお店だ。
 それ故か、店長は、お客さんみんなから湖上の貴婦人とか言われているとかなんとか。
 騎士の国に妖精の名を冠した建物、そして湖上の貴婦人とは如何なるジョークか。
 店の下にはエクスカリ○ーでも眠っているとでもいうのか。
 店長に尋ねれば、主人の趣味です。とのこと。
 どんな旦那だ。

「はいっ。みなさん如何でしたでしょうか。
 力とは何か。それは、考えることが出来る私たちの、永遠の命題かもしれません。
 力があるからこそ、争いや悲劇は起こるのかもしれません。
 でも、力があるからこそ、争いや悲劇から幸せを護ることもできるのです。
 力は、使う人の意志により――」
「なげぇな……」
「お兄様!?ちょっと静かにしていてくださいませんか!?
 私の出番なのですよ!?
 だからお兄様はソーディアン家の長男であるという自覚が足りないと言うのですっ!
 毎日毎日お父様と釣りばかり行ってお兄様ときたら――」
「別にこだわらねーだろ?ウチはさ……」
「うぅ……でも……でも……ソーディアン家は名家だしちゃんと……うぅ……」

 ぷしゅ~……

「わ、わ、わ!フィルスおねえちゃんから、ゆげでてる!ゆげ!」
「マズイっ!水、水もってこいっ!いや、むしろ氷だっ!」

 トンッ

「落ち着いて。これでも飲んで。ボクのおごりだから」
「はぅ……ありがとうございます……うぅ……アベル君とお兄様交換したい……」

 タタタタ……

「(こそっ)ゼノス兄ぃ……なんでフィルス姉ちゃん、いつもああなの?」
「(こそっ)ああ……メイドのエマさんが……な……後は聞くな」
「あぁ……」
「あぁ……って何ですの!あぁ……って!
 一度痛い目見ていただかないと分からないようですわね!」
「ちょっとまったあああああああああああああ!!!」

 ばたんっ!と喫茶店のドアが開け放たれた!

「アベルと喫茶店Fairyの平和はあたし、クライエルが護るっっっっ!!
 っていうかそのジュースを私にもよこせーーーーーーーー!!!!」
「お前も敵かっっっっっ!?」
「お姉ちゃんをお前と呼ぶなっ!クレアお姉ちゃんっていいなさーい!
 天・誅!サンダーⅡ!」
「うぎゃー!」
「ヤバイっ!逃げるぞアベルっ!――来いウェーブ!」
「ワンッ!」
「ゼノスっ!今日こそはあんたもお仕置きしてやるだからー!」
「御免こうむるっ!」

 カウンターの下から大きめの体を震わせて、
 喫茶店の看板犬、ウェーブが飛び出した!
 そのままフラフラのアベルを乗せて、二人と一匹+1は彼方へ――

「……」
「……」
「嵐ねぇ……ホントあの方……」
「たいふーん……」
「寂しいからもうシメちゃお……」
「そうですね……」
「ではっ!このお話は私、フィールソング・ソーディアンとっ!」
「ターナ・スティルリオンがおおくりしました~♪」
『またねー!』




「えーっとこれでスイッチがきれるんだよね?」
プッ――……
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by creatle | 2007-01-21 01:37 | 外伝:潮騒の鎮魂歌


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